「ひゃ、あっ……!」 明かりの落とされた暗い部屋の中で、枕もとのライトスタンドだけが俺と相手を浮かび上がらせる。 薄暗い部屋のベッドの上で、俺は相手の喉元に噛み付くようにキスをした。 部屋に響くのは俺と相手の荒い息遣いと、ぴちゃりという濡れた音だけ。 まるで、この部屋だけ別の次元に隔離されたかのような錯覚に陥る。 照らされる白い肢体に浮かび上がる赤い印。 それはまるで赤い花びらのように見えてきて、俺は吸い寄せられるようにその体に花を咲かせた。 その滑らかな白い肌に舌を這わせ、口付けるたびに小さな体が地に打ち上げられた魚のように跳ねる。 「ふ……」 声が漏れるのを我慢しているのだろうか、鼻に抜けるかすかな声がする。 俺はいつまでもつかな、とクスリと笑い、小さく存在を主張する胸の小さな突起に指を這わせた。 その瞬間、彼の体がひときわ大きく跳ねる。 俺はわずかに堅く立ち上がっているそこを指で押しつぶすように刺激を加えた。 「気持ちいいの?」 「んっ、わ、わからないです、何だか背中がぞくぞくします……」 まだ快感に目覚めて間もない若い体は、外部からの刺激に戸惑うばかりのようだ。 怯えるかのように俺の頭を抱える彼の背中を優しくなでながら、ぷっくり立ち上がった胸の突起に舌 を這わせると、彼の体がまたぴくりと跳ねた。 そのまま、舌を下腹部へと移動させていく。 「……くすぐったいですよぉ……」 正直な感想が、上から聞こえる。 顔を上げると朱に染まった顔が俺を見下ろしていた。 「じゃあ、くすぐったいだけじゃなくしてあげようか……?」 そっと右手で彼の肩を抱き寄せ、左手をわき腹へと這わせ、下へ下へとそっと移動させていく。 「え、あ、ひぁっ?!」 下へ下へと手を這わせ、幼いながらもしっかりと快感を主張する股間のそれをそっと包むように刺激 をすると、驚きと嬌声が交じり合ったような声が彼の口から零れ落ちる。 「ふ、んっ、何か変な感じが、あ、あぁっ」 「それは気持ちいいっていうんだよ……」 零れ落ちる嬌声を聞きながら、俺は片手で自分のソレと彼のソレを重ね合わせるように包みこすり合 わせた。 手の中で蜜の絡み合う、濡れた音が響く。 「あ、あぁっ、駄目です、手を離してくださいっ!頭がおかしくなってしまいます……っ」 「いいよ……俺のためにおかしくなって?」 「は、あっ、何かがはじけてしまいますぅ……」 荒い吐息にまぎれて、限界を訴える声が聞こえる。 俺は解放に導くために、手にこめる力を少しだけ強めた。 中心から白濁した液体が解き放たれたその瞬間、彼は俺の体にしがみつき俺の名前を強く呼んだ。 「ジャスティスさぁん……っ!」 その声を聞いて、俺も自らを解放した。 強く、強く相手の名前を呼ぶ。 「くっ……マモル、くん……っ!」 …………って!! 俺は濡れた感触に違和感を感じ、慌てて体を飛び起こした。 目を覚ませば暗かったはずの部屋には朝日が昇り、もちろん隣には誰が寝てるわけでもなく俺一人だ けだった。 「……夢……か」 しかし夢の中と今で変わらない感触があった。 股間に感じる湿った感触。 そっと布団をめくり下着を確認する。 「………………………………うわぁ……」 下着の内側には十中八九、俺が吐き出したであろう白濁とした液体がべっとりとこびりついていた。 この年になって夢精、か……確かに最近忙しくてたまってたのもあるけど。 しかし、よりにもよって……。 俺はベッドから這い出ると、バスルームに向けてよたよたと足を向けた。 シャワーを浴び、寝ぼけた頭をしゃっきりとさせ、汚れた下着を軽く水で洗って洗濯機にほおりこむ。 音を立てて動き始める洗濯機を俺はぼんやりと眺めながら、夢の内容を思い返していた。 まさか、夢にでるとは思わなかった……。 今でもあの生々しい感触がありありと思い出せる。 俺がさっきまで見ていたの夢は……その……マモル君とエッチなことをしてる夢だったわけで。 「俺、そんなにたまってるのか……?」 たしかに最近忙しかったし、マモル君のことをそういう目で見たことがないとはいいきれないけど! 少しぼーっとするとさっきの夢の中のマモル君の姿が出てきてしまい、俺は軽く頭をふってその妄想 を打ち消す。 「あ、ぼーっとしてると駄目だ……何か飲むかな」 キッチンに向かい、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しグラスに注ぎ一気に飲み干す。 「……はぁ」 夢に見るいうことは俺がマモル君とそういうことをしたいと言う意識の表れなのだろうか。 だ、駄目だって、せめてマモル君が高校生ぐらいになるまでは……! 「てか、俺、どうせ夢の中なら最後までやっちゃえよ……」 ああ、俺ってどうしてこう中途半端なんだろう……。 日の光に満たされる室内、空になったグラスが光を反射してキラキラと光っている。 俺は時間を確かめるために、壁にかけてある時計を見た。 「7時か早く目が覚めちゃったな……っ!」 俺の目は時計に表示されていた今日の日付に釘付けになった。 1月1日。 え……これって……初夢……?! ちょ、ちょっと待ってくれ! 時計から視線をはずし、もう一度時計を見る。 けれども時計の表示は1月1日午前7時のままだった。 「たしか、昨日は事務所の人と飲んで、日付が変わった頃に帰ってきたから……さっきの夢はまぎれ もなく初夢……だね……ははは」 今年一年、俺どうなっちゃうんだろう……。 今度マモル君とあった時ちゃんと顔を見れるだろうか。 一緒に初詣に行く約束を思い出して俺は途方にくれた。 |
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